痛んだジョリパット仕上げのブロック塀をDIYで補修

DIY

今回の作業箇所の紹介

我が家に設置してある木製のフェンスです。

設置から約10年が経過しており、木の部分はほとんど塗装がはがれ、木自体も痩せたり、腐ってもろくなっているところがあります。

木製フェンスの下の、ブロック塀が白く塗られた部分もボロボロです。(上の写真は白い部分を少し清掃した後の写真となります。)

処理前の下の白いブロック塀部分をアップにしたものです。

この部分は、コンクリートブロックに、ジョリパットという塗り壁用の塗材で仕上げられています。

白色のジョリパットが、水膨れしたように膨らんだり、剥がれてコンクリートブロックが露出したりしています。

また、雨や泥はね等でかなり汚れています。

今回は、木製フェンスを撤去して、木製フェンスの下のジョリパットが塗られた白いブロック塀部分を補修していきます。

ジョリパットとは

ジョリパットとは、化粧板などの住宅関連用品・接着剤を製造、販売しているアイカ工業が1975年に発売した意匠性塗材で、現在の国内の塗り壁塗材を代表する商品です。

ジョリパットについて、私なりの解釈でごく簡単に説明すると

  •  こってりした塗り壁材で、通常の塗料と異なり、鏝(コテ)を使用して施工する。
  •  カラーバリエーションが豊富で、骨材を混ぜて質感を変えたり、表面に鏝(コテ)跡を残したりすることで、デザイン性の高い様々な仕上げができる。
  •  雨や日光等への対候性に優れ、弾力があるためひび割れに強い。

というものです。

詳しくは、アイカ工業のホームページジョリパットのページをご確認ください。

ちなみに我が家では、このブロック塀だけではなく、建物本体の外壁もこのジョリパット仕上げです。

ジョリパットの耐久性

我が家のブロック塀に施工されたジョリパットは、紹介したように約10年でかなり痛んでいます。

しかし、本来のジョリパットの耐久性は高く、たった10年では通常ここまで痛みません。

根拠は、我が家の建物本体の外壁に施工されたジョリパットです。

我が家の建物本体に施工されたジョリパットには多少汚れがあるものの、剥がれた部分はまったくありません。

我が家のブロック塀に施工されたジョリパットがこんなに痛んだ理由は、想像でしかありませんが、施工時のミスがあると思います。

ジョリパットは、完全に硬化するまでは、水分に弱いです。

ジョリパットの下地のブロック塀は、複数のコンクリートブロックをモルタルで接着してあります。

モルタルは施工後、表面が乾いたように見えても、内部が完全に硬化するまで、表面から水分を放出し続けます。

また、冬の気温が低い時期であれば、コンクリートブロックの表面に水分が凍り付いていることがあります。

我が家は中古で購入したため、あくまで想像でしかありませんが、短期間で仕上げられた外構工事により、このようなコンクリートブロックの内部に水分を含んだ状態で、上からジョリパットを施工したことで、耐久性が大きく落ちたと考えられます。

ジョリパットの補修作業

下地処理(洗浄とケレン)

洗浄

高圧洗浄機、ブラシ等を使用して、ブロック塀表面の汚れを落とします。

特に今回は、ジョリパット表面の劣化した部分をそぎ落とし、上から新たにジョリパットを施工する予定ですので、高圧洗浄機で表面を洗浄し、痛んでいるところを削り取ることは有効です。

単純にブロック塀の表面を洗浄するのみの場合は、強力な高圧洗浄機をむやみやたらに使用すると、ブロック塀表面を傷めるおそれがありますので、ノズル等の選択を適切に行い、慎重に作業をしてください。

正直、やや手間はかかるものの、ブラシを使用して手作業で洗浄を行なっても、それなりにきれいになります。

また、手作業であれば、高圧洗浄機を使った場合のように、周囲に汚れを飛び散らす心配も少なく済みます。

ベランダ掃除などに便利な伸縮型デッキブラシ

ケレン

ケレンとは、塗装の下処理の1つで、鉄部や木部を塗装する際に、紙ヤスリなどで錆や表面の凸凹を落とし、塗料が乗る下地を整える作業です。

今回のジョリパットの補修では、はがれたり、浮いている古いジョリパットを取り除いて、滑らかな表面にしていきます。

使用した道具は、スクレーパーとか皮スキとか言われる道具です。

貫通型のステンレスヘッド

貫通型のスクレーパーはやや重量がありますが、グリップが丈夫で、ハンマーでグリップの根元を叩いてパワフルに作業ができますので、おすすめです。

古いジョリパットをすべてはがす必要はありません。

ジョリパットが痛んでもろくなっている部分や、浮いたりはがれている部分を削り取ります。

ジョリパットがはがれた部分は、境目の段差が滑らかになるように、境目の角をスクレーパーで滑らかになるように削っておきます。

下塗り(シーラーの塗布)

使用するシーラー

ジョリパットを塗る前に、ジョリパットがブロック塀に密着するように、下塗りとしてシーラーを塗っていきます。

ジョリパットには、アイカ工業からジョリパット専用のシーラーが販売されています。

一液水系浸透型カチオンシーラー

専用のシーラーを使用したほうが仕上がりに間違いはないとは思いますが、今回は、入手が容易で安価なシーラーを使用しました。

細かい成分や特徴の違いは分かりませんが、専用品と同じカチオン系のシーラーです。

カチオンのプラスイオンと下地のマイナスイオンが電気的に引き合い、上塗り塗膜の密着性と耐久性を高めます

このシーラーは、やや乳白色をしていますが、薄く塗ればほとんど透明で、伸びが良く塗りやすいです。

適当な容器(今回は紙コップ)と、適当なサイズの刷毛も用意します。

マスキング

下塗りのマスキングは手を抜いて、幅広のマスキングテープのみで行いました。

今回使用したシーラーは、半透明ではありますが、付着してほしくない場所に付着すれば、シミ等になるおそれがありますので、気になる方はきちんとマスキングをしてください。

しかし、今回使用したシーラーはかなりさらさらしており、マスキングテープを凸凹したコンクリート面に密着させるのは難しいため、マスキングするのは大変でした。

少なくとも、マスキングテープの貼付面を念入りに清掃して、砂やホコリがない状態で貼付してください。

コーナー部分は砂やホコリが残りがちで、マスキングテープを密着させるのが特に困難です。

 

なおこれらの写真を見ると、ジョリパットがはがれた箇所は、コンクリートブロックの継ぎ目と思われる部分に、直線状に認められます。

ジョリパットがはがれて露出したコンクリートには小さなす穴が無数にあり、このす穴に水分があったことが想像できます。

また、ケレンの程度も、これらの写真を参考にしてください。

シーラーの塗布

今回使用したシーラーはサラサラしていて塗りやすく、適切なサイズの刷毛を使えば、さほど時間をかけずに塗り終わります。

ブロック塀の下塗りであれば、刷毛跡も特に気になりません。

写真右半分がシーラーを塗布した部分です。

しっとり濡れたようになり、少しツヤがあります。

シーラーが、段差部分に厚くたまった部分を見れば、やや乳白色をしていることが分かります。

下塗りの仕上がりは、ニスを塗ったような感じに似ています。

ジョリパットの塗り付け

使用するジョリパット

今回使用したジョリパットは、少し前にヤフーオークションで入手しました。

業者の方が、現場で余ったものと思われる、容器に傷のある未使用のジョリパットをやや安価で出品されていました。

急ぎでなければ、こうしたオークションで欲しい色のジョリパットが出品されるのを待つのも安価で入手するのにいいと思います。

汚れに強い機能をプラスしたスタンダードタイプ。(90パターン・183色)

ジョリパットは、カラーバリエーションが無数にあります。

「白色のジョリパット」だけでも、寒色系や暖色系、明るいものや暗いものまで、数十種類の設定があります。

今回の施工は、以前のジョリパットの補修であるため、前回と同じ色のジョリパットを使用したいところですが、ジョリパットも長い年月で色あせや変色を多少していますので、同一の色で施工することは難しいです。

今回は、はがれたジョリパットの裏面であれば、色あせや変色の影響が少ないと思われることから、この裏面の色を参考に、近い色のジョリパット選びました。

 

ジョリパット1缶の施工面積の目安は7㎡~8㎡です。

しかし、厚塗りして表面に模様をつけたり、骨材を混ぜたりする施工だと、1缶で施工可能な面積は大きく変わってきますので、よく考えて購入する必要があります。

ジョリパットの缶の蓋を開けると、厚手のビニール袋の中にジョリパットが入っており、輪ゴムで封がされています。

今回使用したジョリパットは、オークションでの購入ですし、購入してからも数カ月経っていましたが、特に硬化をしていたり、変質したりはなさそうでした。

ほんのわずかに水分が分離していた程度です。

通常の塗料と異なり、ほとんど撹拌せずに使用できることから、考え方次第ですが、すごく気軽に使用できる塗材だと思います。

使用する道具

パテ塗り等で使用する樹脂製のヘラと、適当な木端に料理用のラップを巻いたものを用意しました。

本来は、塗り壁用の鏝(コテ)とジョリパットを取り分ける鏝台を使用しますが、ヘラと木端で代用しました。

施工面積が広い場合は、塗り壁用の鏝を用意したほうが良いと思います。

今回は施工面積から狭く、低い位置の施工が主ですので、気軽に使用でき、後処理も楽そうな樹脂製のヘラを使用しました。

鏝台は、ヘラの大きさに合わせました。

使い捨てできる不要な木端を使用していますので、木端にラップを巻く必要はあまりないのですが、ラップを巻いていれば、ちょっと作業を中断する時など、さっと鏝台をリフレッシュできますので、ひと工夫としておすすめします。

耐薬品性に優れたポリアセタール樹脂性のヘラ
こて先長さ約240mm

マスキング

ジョリパットの施工に入る前に、ジョリパットが付着すると困る箇所をマスキングしていきます。

ジョリパットは、気温や天候等によっては、表面がすぐに乾燥してしまうため、急いで作業する場合がありますし、コンクリート面等にこぼしてしまうと、きれいに取り除くのが大変です。

シーラーとは異なり、作業箇所の周囲を広範囲にマスキングしましょう。

いわゆるマスカーと呼ばれるマスキングテープを使用しました。

マスカーのビニール部分を広げると、簡単に広範囲をマスキングできます。

マスカーを使わなければ、新聞紙等を広げて作業することになると思いますが、そうなると作業後に大量のゴミが出ます。

マスカーを使えば、そういったゴミの心配も大したことがありません。

段差の補修

ジョリパットの本塗りにとりかかる前に、ジョリパットがはがれた部分の段差を少なくするために、先にその部分にジョリパットを塗りつけていきます。

しかし、ジョリパットは乾燥するとかなり痩せてしまい、段差を完全に消すのは難しいです。

完全に段差を消したい場合、モルタルや外壁用のパテを使用する等の検討が必要です。

本塗り

ジョリパット塗りは、通常のモルタルを塗るのに比べて、非常に塗りやすいです。

伸びが良く、粘り気があります。

当然、垂直の壁面に塗り付けるのですから、いくらかは下にたれるのですが、マスカー部分に落ちるのはごくわずかです。

今回は、ジョリパットの下塗りのつもりで、新たなパターンは付けることは考えず、補修箇所全体にごく薄く塗りつけました。

塗り付けたジョリパットが厚くなったところは、ヘラで削り取り、古いジョリパットがはがれて凹んでいた部分にはやや厚く塗りつけ、平坦にしていきます。

作業開始当初は、補修箇所は日陰だったのですが、午後から直射日光が補修箇所に当たり始めました。

直射日光が当たると、ジョリパットの表面の乾燥がものすごく早くなりました。

表面が乾燥してしまうと、その箇所をヘラやコテで慣らそうとすると、すごく汚くなってしまいます。

基本的には、平らでつるつるの仕上がりを目指して塗っていますが、それなりに凸凹が残ることは想定内です。

 

完成

とりあえず、完成とします。

 

 

作業途中から、なかなか表面が平らにならなくなったなーと思っていたら、ヘラの先が削れて凸凹になっていました。

ブロック塀は硬いですので、やはり金属製のコテやヘラを使った方がよかったようです(反省)。

石膏ボード等、柔らかいものにジョリパットを塗る場合であれば、樹脂製のヘラでもいいと思います。

(ちなみに、この樹脂製のヘラは、紙やすり等で先端を整えれば、また使用することができます。)

今後…

ちなみに、今回の作業はあくまで下塗りで、後日改めて上から新たなジョリパットのパターンを付けたいと考えています。

とはいえ、現状は、素人仕事でわざとらしいコテ跡を付けるよりは、素朴な仕上がりで嫌味がないですし(自画自賛)、ジョリパットも節約できていますので、このまま完成にしても悪くはないとも思います。

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